
- Text:
- 西野 大樹
6月13日(金)から22日(日)までの10日間、文化沼にてUENO KOSEI EXHIBITION『HIGHLAND, BIG AMBIENCE』 を開催します。
UENOさんは、Yogee New WavesやJappersのベーシストとして活動した後、2022年から画家・イラストレーターとしてのキャリアをスタート。
これまで各地で展示を開催してきましたが、山梨での展示は今回が初めて。
山梨という土地、自然の魅力をUENOさんに味わってもらうべく、4月23日〜24日の2日間、所属事務所・BAYON PRODUCTION代表の北澤さんと文化沼スタッフとともに、山梨ツアーを実施しました。
この旅でUENOさんが見た風景、感じたこと――その体験が、本展示のインスピレーションの源になればと、この企画は生まれました。
UENOさんがこの土地で何を目にし、どんな感覚を持ち帰ったのか。
その一端を、みなさまにもお届けできたらと思います。
4月23日(1日目)
UENOさんの作品は自然をモチーフとしたものが多く、山梨を巡るのであれば多くの自然に触れることができる登山がいいのでは、と1日目の予定を組んでいました。
しかし、この日はあいにくの雨模様。
日向山に登り、頂上から山梨の雄大な自然を見ることは叶いませんでしたが、プランを変更し、ツアーはゆっくりとお昼から始まることに。
ランチの場所に選んだのは、mountain*mountain w/cafe flat。


窓の外には、緑が生い茂る豊かな風景が広がっており、テラスにやってきた鳥のさえずりが心地よく、自然の中に溶け込んでいるようでした。

「めちゃくちゃ美味しいです」
リラックスした雰囲気のなか、豊富なランチメニューから選んだ料理はどれも丁寧に心を込めてつくられていて、UENOさんもとても美味しそうに食べてました。
山梨の自然をゆったり味わうのに、ぴったりの場所です。


雨の影響で予定が変わったこともあり、次の行き先を検討することに。
制作のインスピレーションにつながるかと思い、中村・キースへリング美術館へ向かいます。

館内を歩くたびに現れる力強い作品の数々に足を止め、ひとつひとつの作品をじっくりと見つめるUENOさん。
どの作品にも丁寧に向き合い、まるで作品と静かに対話しているような後ろ姿がとても印象的でした。


美術館での時間を過ごし、私たちは大きな木々たちの間にひっそりと構えている寺崎COFFEE小淵沢へ。※6月15日閉店
自然に囲まれながら外の席でコーヒーとお菓子を楽しみました。
「この近くに歯医者兼レコーディングスタジオがあるんですよ」
ふとした会話の中で、UENOさんが教えてくれたのは、ユニークなレコーディングスタジオの存在。
静かな土地に、そんな場所があるなんて。
この街の奥行きを感じる出来事でした。

寺崎COFFEEでブレイクしたあとは、雄大な自然を望める清泉寮へ向かいます。
…が、この日はあいにくの天気で、景色はほとんど見えず。
この土地から見える美しい風景をUENOさんにも見てもらいたかったのですが、それはまたの機会に。
清泉寮に設置された山の地図には、この場所から見える稜線が描かれています。
晴れていれば、まるで絵のように連なる山々が広がるはずだったその方向を、UENOさんはしばらく見つめていました。
その視線の先に、何を感じたのでしょうか。
もしかしたら、その想像の風景は、展示される作品の中に描かれているのかもしれません。



その後、Flower for Lenaに立ち寄りました。
店内にはお花や古材、セレクトされた雑貨が並び、木造の建物からは木材の香りとお花の優しい香りが漂っていました。
自然豊かな北杜市らしい、心地よい空間を感じることができました。
北杜市を後にして、宿がある甲府市へと向かいます。

甲府市に移動し、少し時間に余裕があったので、まずはHops & Herbsで軽く一杯。
その後、発酵酒場かえるの寄り道へ向かいました。
かえるの寄り道の店主が手がける料理はどれも絶品で、お酒も豊富な種類から選べます。
この日のツアーを振り返りながら、翌日のツアーに備えてゆっくりと過ごしました。
4月24日(2日目)
2日目は曇り空が広がっていました。
1日目に登山ができなかったため、気持ちを新たにして昇仙峡のロープウェイへ向かいました。
現地に到着し、意気揚々とロープウェイの入口に向かったところ、張り紙がありました。

よりによってこの日が機材トラブルでロープウェイが運休。
気持ちを切り替え、昇仙峡の渓谷を一目見ようと昇仙橋の遊歩道を歩くことにしました。


途中、岩に挟まった小銭がふと目に入り、その不思議な光景を横目で眺めながら進むと、やがて目の前に現れた渓谷の迫力に圧倒されました。
ゆっくりとカメラを構えるUENOさんの姿。
自然の息づかいを受けとめるように、静かに、そして真っ直ぐにレンズを向けていました。


勢いよく流れ落ちる滝、岩壁から力強く伸びる樹木、普段なかなか目にすることのない花々――豊かな自然の息吹を感じ、大地のエネルギーがダイレクトに伝わってきました。
「気のいい場所ですね。」
とUENOさんの言葉が、静かに自然に溶け込んでいきました。


昇仙峡で自然のエネルギーをたっぷり感じたら、次第にお腹も空いてきました。
甲府の中心部へ向かい、山梨の郷土料理「吉田のうどん」を味わうためにうどんの佐助へ。

吉田のうどんは強いコシが特徴で、一度食べるとクセになる美味しさです。

うどんを食べたあとは、リニューアルしたばかりのTANEでひと休みすることにしました。
AKITO COFFEEがプロデュースするこの空間は、他では味わえない洗練された空間が広がっていて、時間の流れまでゆったりと感じられました。
UENOさんも、ここで過ごす静かなひとときに自然と笑みを浮かべ、
これまで巡ってきた山梨の風景が、ゆっくりと心の奥に染み渡っていくようでした。
2日目の朝から同行してくれていたBROWNSEA FLOWER SHOPのクマケンさんは、このあと仕事があるためここで一旦お別れ。
とはいえ、彼のお店はTANEから歩いてすぐの古道具屋Cycleの中にあります。

TANEでリラックスした後は、クマケンさんのもとへ。
この日も彼がセレクトした鮮やかなお花がお店を彩っていました。
UENOさんとクマケンさんは以前から親交があり、クマケンさんが文化沼で開催したイベント『TULIP LAND』にUENOさんが訪れたことをきっかけに、今回の展示企画が動き出しました。
BROWNSEA FLOWER SHOPは、6月14日(土)のRECEPTION PARTYにてハーブ苗などの販売を予定しています。どうぞお楽しみに!
事前に組んでいた予定を変更することになった今回の旅。
しかし、その変化があったからこそ、思いがけない場所や風景と出会うことができました。
普段は想像上のランドスケープを描くことが多いのですが、今回の展示では実際に訪れて目にした山梨の風景をテーマにした作品を展示する予定です。
豊かで壮大な自然や澄んだ空気、出会った人々や頂いた食事など、さまざまなことから感じたフィーリングを作品に落とし込めたらと思っています。
この旅でUENOさんが見た風景、感じたこと。
目にした光景や音、匂い、そしてその時に抱いた感情が、どのように作品へと昇華されているのか。
6月13日(金)から22日(日)まで開催の UENO KOSEI EXHIBITION『HIGHLAND, BIG AMBIENCE』
ぜひ、展示にお越しください。
1日目ツアールート
2日目ツアールート
今回のツアーで訪れたお店や場所をまとめたマップをご用意しました。
展示にお越しの際は、ぜひ参考にしてみてください。
展示概要
- 開催期間
6/13(金)から6/22(日)
13:00-19:00
※6/14(土)はRECEPTION PARTYのため16:00~20:00
- 料金
入場無料・予約不要
- 場所
文化沼
〒400-0032 山梨県甲府市中央1-7-14パリスビル2F
- 主催・お問合せ
文化沼

Ueno Kosei
1988年生まれ、福岡県出身。
Yogee New Waves、Jappersのベーシストとして活動をした後、2022年から画家、イラストレーターとしてのキャリアをスタート。
同年、初の個展『HelloIt’s Me』をkitgaleryにて、2回目の個展『You ain’t going nowhere』をcandlecafe△Iにて開催。
翌年には初の作品集『Whenwe saw it being there』を製作し、同名の個展を開催。画家としての活動のほか、イラストレーターとして様々なアーティストやブランド等にデザインを提供している。

